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学術情報

顧問 …………………………………

本多心身医学研究所 所長   
本多和雄

企画・監修 …………………………

OD低血圧クリニック田中 院長   
田中英高
  • 起立性調節障害 Support Group
  • 起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック
  • 起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応
  • 大正富山医薬品株式会社

めまい・たちくらみ・失神と低血圧

めまいについて

"めまい"は小児では珍しくない身体症状である。我々が行った、一般中学生のアンケート調査結果によると、『立ちくらみやめまいがありますか』との問いに、はい、と答えたもの13%、時々ある、と答えたものは28%も存在する。立ちくらみとめまいは、医学的意味合いは異なるが、子どもには両者の区別はつきにくいものであり、その自覚症状からだけでは、なかなかその原因が同定できないものである。しかもめまいを主訴に来院する子どもは、まず小児科を受診する。しかし、めまいを生ずる基礎疾患は、耳鼻咽喉科、脳神経外科領域、循環器科、神経内科、心療内科、精神科などの広い領域に及んでおり、その診断に当たっては、幅広い知識が要求される。

めまいの分類とそれらの原因疾患は[図1 めまいの分類とそれらの原因疾患]に示した。すべてを網羅するための診断検査は、プライマリーケアにおいてはやや無理な面もあるため、本稿では、頻度の高いものに焦点を絞って述べることにする。
[本文抜粋]田中英高著『めまい』小児科 2001;42444-448より金原出版株式会社

[図1 めまいの分類とそれらの原因疾患]

めまいの種類

めまいはその障害部位から見て、末梢性と中枢性に分類される。一般的に末梢性めまいのその臨床的特徴は、定型的であり、激しい回転性のめまい(真性めまい)耳鳴りや難聴などの蝸牛症状を伴う。患者は周囲の景色がぐるぐる回ると訴える。一方、中枢性めまいでは非定型的なことが多く、自分の身体がふらつくような浮動感があり、雲の上を歩いているような感覚がある。成人の場合、症状から両者の区別をつけることが可能であるが、小児の場合では、この区別のつかないこともある。

問診の方法

十分に適切で正確な問診をとれば、障害部位診断と予後を推測することがある程度、可能である。すなわち発作の時間や姿勢、めまいの症状、頭痛、嘔吐、耳鳴り、難聴などの随伴症状を詳しく問診する。例えば思春期の小児で身体がふらつくと訴えた時、よく問診すると回転性めまいではなく起立後10~30秒以内に生ずる脳貧血症状や立ちくらみである場合が多い。このような起立瞬時の一過性低血圧による立ちくらみでは、血の気が引く感覚や眼前暗黒感だけでなく、急激な血圧回復に伴う後頭部の灼熱感や頭痛を訴えることもあり、問診をしておくとよい。

検査の種類と手順

正確な診断には多くの検査が必要とされる。めまいの検査は表に示したが、現実のところ耳鼻科に依頼して実施することが多い。ここでは小児科医も実施が可能であり、かつ最小限必要な検査について述べる。

 

1. 立ち直り反応

両足を前後に一直線にして、開眼および閉眼で30秒ずつ起立させる(Mannの姿勢)。内耳障害のある側へ転倒する。

2. 偏倚現象

起立位で両上肢を水平に伸展させ、その場で閉眼して100歩足踏みさせる(足踏み検査)。患側方向に身体が回転する。

3. 眼振検査

自発眼振とは、患者にぼんやりと遠方をながめさせ何の刺激も与えない状態で生ずる眼振である。前庭迷路の障害では、水平性眼振で一般的に急速相と緩徐相がある。緩徐相に姿勢が傾く。

注視眼振は目前30~40cmを注視させた時に生ずる眼振であるが、まず、正注視させ、その後左右上下を順に注視させてその程度を検査する。

迷路性の眼振は注視によって抑制され、中枢性は逆に増強される。頭位眼振は頭位を変えて生ずる眼振である。

方向固定性眼振とはいくつかの頭位で方向性の固定した眼振をいう。

これらで異常が認められれば、耳鼻科医や専門医による検査を必要とする。

 

小児のめまいの原因疾患で最も頻度が高いと考えられるものは、起立直後性低血圧であろう。また体位性頻脈症候群においても起立中にめまいを訴えることがある。いずれも体位変動に伴う脳血流量の減少が原因と推定される。神経調節性失神は起立中に突然の低血圧発作が出現し、時には意識消失を伴うが、前二者の結果として生ずることもある。

起立直後性低血圧(instantaneous orthostatic hypotension: INOH)

体位性頻脈症候群(Postural tachycardia syndrome: POTS)

めまい患者の検査の種類と順序

1. 詳しい問診

2. 一般理学的検査(神経学的検査を含む)

3. 血液一般検査

4. 立ち直り反応

5. 偏倚現象

6. 循環機能検査(心電図、血圧測定)

7. 眼振検査

8. 自発眼振、注視眼振、頭位(変換)眼振、温度眼振

9. 起立血圧試験

10. 心理検査

 

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