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改善方法

顧問 …………………………………

本多心身医学研究所 所長   
本多和雄

企画・監修 …………………………

OD低血圧クリニック田中 院長   
田中英高
  • 起立性調節障害 Support Group
  • 起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック
  • 起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応
  • 大正富山医薬品株式会社

からだを動かすことが大切

低血圧の運動療法については、「この運動をすれば改善する」とはっきりいえるものはありません。しかし、適度な運動をしないと低血圧が悪化することだけはわかっています。それは、次のようなことからです。

人は立っていると重力の作用によって、下半身(腹部、大腿部、下腿部など)の静脈血管に約500~750mlの血液が溜まります。これをそのまま放っておくと心臓に戻ってくる血液量が激減して低血圧を起こしてしまいます。

人間のからだには、そのような状況を避けるために、さまざまな防止機構が備わっていますが、なかには、その防止機構がうまく作動しない人がおり、起立性低血圧体位性頻脈症候群になります。 防止機構には大きく2つのものがあります。

自律神経反射によるもの
血圧低下が生じたり心臓へ戻る血液量が低下したりすると、自律神経反射によって交感神経活動が活発になり、血管収縮を起こすことで血圧を維持させます。

下半身の筋肉によるポンプ作用
下半身に溜まった血液は、筋肉が収縮する力で心臓に送り戻されます。下半身の筋肉はポンプのような働きをするのですが、これらの筋力が低下すると、ポンプの力は弱まり、血液を送り戻すパワーも低下すると考えられています。つまり、筋力の低下は低血圧へ悪影響を及ぼすということになります。

したがって、からだを動かし、下半身の筋力アップをすることは、低血圧の改善によい効果が期待できます。

病気などで長い間ベッドから起き上がれない生活をしている人では、自律神経反射と共に、下半身の筋肉によるポンプ作用の機能低下も生じるため、起立性低血圧を起こしがちになります。

運動療法

外国の医学論文では、低血圧の改善が期待できる運動療法がいくつか紹介されています。


たとえば、仰向けの姿勢で、特殊な装置を使ってスクワットのような下肢の筋肉トレーニングをするなどです。立った状態で運動すると、起立性低血圧の症状が現れ、数分以上トレーニングを続けることが困難なため、横になって行うのです。これは宇宙飛行士がスペースシャトル内で行うトレーニングを応用したものです。宇宙空間では重力がないので、筋力低下を予防するために運動は欠かせません。この装置はまだ一般的には出回っていませんが、筋力が低下すると、低血圧を引き起こすだけではなく、腰痛などの原因にもなりますし、結果、QOL(生活の質)の低下にもつながりますので、自分にあった筋力トレーニングをしてみてください。

下半身の筋肉は、血液を心臓に送り戻すポンプのような働きをすると述べましたが、では、ボディビルダーのように平均以上に筋力を高め、筋肉量を増やすことで、低血圧は改善するのでしょうか? 残念ながら、明確な根拠はありません。

ただ筋肉質の人には低血圧は少ないようですので、筋トレは効果があるのかもしれません。筋力低下が生じている場合は、平均のレベルに戻す必要はあるでしょう。

低血圧の人が可能な運動療法

低血圧の症状が強く、運動をすることが難しい場合には、次のことに配慮して、少しずつからだを動かすことを習慣にしましょう。

 

(1)からだがだるく辛くても日中の時間帯は、横になって寝ないようにしましょう。なるべく座って過ごすようにします。

 

(2)からだに負担がかかるような運動は避けてください。低血圧の人は心拍増加が激しい場合がありますので、激しい運動では動悸がすることがあります。

 

(3)運動療法は長く続けることで効果が現れます。からだに負担がかからず、長く続けられるという点から、ウォーキングは推奨される運動の一つです。
運動をする時間帯は午前中のほうが望ましいのですが、無理なようでしたら夕方から夜に30分程度、行うようにしてください。昼間、仕事などで歩いている人でも正しい姿勢でウォーキングをするとよいでしょう。ウォーキング中の注意としては、立ち話などで立ち止まることがあっても、立ったままの状態は2~3分以内とすることです。

 

(4)腹筋を発達させる腹筋運動は、仰向けの姿勢でもできるので、少しずつでいいですから毎日することをお勧めします。

 

(5)全身の筋力アップという点では有効な水泳ですが、自律神経反射の改善はあまり期待できません。なぜなら、水の中は、重力作用が消去されていますので(水中は無重力です。だからこそ、からだが浮いてしまうでしょう)、下半身への血液プーリングは生じません。そのような観点からは、立ち上がった状態で運動ができないほどの低血圧の人では、水泳や水の中での運動のほうが無理なくできると思われます。

 

(6)どのような運動もできないほど症状が強い人は、リハビリセンターなどの病院施設で、低血圧トレーニングか、長期臥床患者用のリハビリを受けるとよいでしょう。

 

(7)運動は少々激しいものでも大丈夫だけれど、立ち仕事がつらいという人がいます。このような人は筋力は正常なのですが、第一機構の自律神経反射が弱いか、からだの水分量(正確には循環血漿量)が少ないために、症状が現われていると考えられます。心当たりの方は、それらの病気の治療も行う必要があります。

 

(8)低血圧の人が運動で汗をかいた場合、体内の水分が少なくなって、血圧低下を招きます。運動をするときは十分な水分摂取を心がけてください。若い人では、水分と共に塩分を補給することも重要です。

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