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低血圧とは

顧問 …………………………………

本多心身医学研究所 所長   
本多和雄

企画・監修 …………………………

OD低血圧クリニック田中 院長   
田中英高
  • 起立性調節障害 Support Group
  • 起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック
  • 起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応
  • 大正富山医薬品株式会社

低血圧の関連疾患

体位性頻脈症候群

体位性頻脈症候群(postural orthostatic tachycardia syndrome:POTS orthostatic intolerance)とは、立ち上がったときにふらつきや疲労感などの低血圧症状があっても、明らかな血圧低下はなく、一方で著しい頻脈(心拍数の増加)を生じるタイプをいいます。


立ち上がったときの脈拍数が1分間に115~120以上であったり、寝ていたときと比べて30~35以上上昇したりします。

このタイプは、立ちくらみ、全身倦怠、動悸、失神、頭痛などと、起立性低血圧とよく似た症状があります。立ち上がったときの血圧が低くないため、医師からは「からだはどこも悪くない。精神的なものだろう」などといわれがちです。

体位性頻脈症候群の原因はまだはっきりとはわかっていません。今のところ有力な考えは、「立ち上がることによって下半身に血液が過剰にたまってしまうため、血圧や血流を維持するための代償として心臓が拍動してしまう」というものです。ほかには、心臓を動かすための受容体の感受性が高いために起こるという考え方もあります。下半身での血液の過剰な貯留は、静脈血管の何らかの異常のために収縮機能が悪くなっているために生じているといわれています。

なぜ立ち上がったときに血圧低下がないにもかかわらず、さまざまな起立失調症状が現れるのでしょうか? 最近、患者さんへの負担が少なく、脳内の血行動態を測定できる近赤外光スペクトロメトリーというものが登場しました。これをこのタイプの患者さんに適応したところ、脳内の酸素化ヘモグロビンが起立時にひどく低下していることがわかりました。これは立ったり、座ったりしていることの多い日常生活において、脳内の動脈血(酸素や栄養分を含んだきれいな血液)の供給が低下することを意味します。すなわち、このタイプの患者さんでは、脳の血行障害が生じているため、さまざまな症状を引き起こすと考えられます。

神経性調節性失神

神経性調節失神(neurally mediated syncope:NMS)。そもそも失神とは、「外傷に起因しない可逆的な意識消失であり、その結果起立位を保持できない状態」と定義されています。つまり、怪我などはしていないのに、意識を失い倒れてしまうということです。

約4割の人は一生のうちに一度は、原因不明の失神発作を経験するといわれていますが、不整脈などの心臓が原因となるものや、てんかん発作などのはっきりした原因を除くと、そのほとんどは神経調節性失神が原因と考えられています。突然の低血圧発作によって脳血流が維持されなくなり、意識消失を生じます。強い精神的ショック、暑いところでの長時間の起立、空腹などが発作の誘因になることがあります。

症状は、突然の気分不良と意識消失発作ですが、冷汗や動悸をともなうこともあります。普段はとても健康で一生に一度だけ発症する人から、毎日のように発症し、疲労感が強いために日常生活が障害されていることもあり、重症度は人によってさまざまです。

神経調節性失神がどのようにして起こるのかはまだ十分に解明されていませんが、体位性頻脈症候群にみられるような下半身へ血液が過剰に溜まって右心房への血液還流が極度に低下し、さらに心拍増加と相まって、心室壁に存在する機械的受容器が刺激され、その結果、ベゾルトーヤーリッシュ反射と呼ばれている自律神経反射が生じて低血圧が生じるといわれています。

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