私は高校生ですが、だんだん暑くなるにつれ体調がよくありません。起立性調節障害の治療として、水分摂取が欠かせないと聞きました。このごろ、あまり水道水を飲む習慣がなく自販機のドリンクをよく飲むのですが、水分なら何を飲んでもいいのですか?
暑くなると起立性調節障害の人は症状が悪くなるので大変です。暑くなると血管が拡張して血圧は下がり気味になり、また、汗をかくので水分不足を招いて全身への血流も低下します。つまり、夏場の水分補給は欠かせないということですね。

水分補給については、とても興味深くてためになる実験報告がありますので、ご紹介します。ヨルダンら研究者は、アメリカ、ナッシュビルの水道水480ミリリットルを一気に飲用させて収縮期血圧(最高血圧)の上昇を測定する実験を行いました。その結果、健常人で11mmHgの上昇がみられました。一方、自律神経不全症で起立性低血圧を生じている患者さんでは30mmHgもの血圧上昇がみられました。つまり、水道水の昇圧効果はすごい! という報告がなされたのです。


しかし、その後、セナードら研究者がフランス、ツールーズの水道水で同じ実験をしたところ、残念ながらこちらはそのような昇圧効果は認められませんでした [1]

ナッシュビルとツールーズの水道水の成分の比較はしていないので、この違いはなんとも説明はできませんが、水分摂取によって血圧が上がる可能性はあるかもしれません。


しかし、その一方で、「ジュースのように糖分が含まれた水分を飲むと、血圧は下がる」という実験報告もあります。台湾のルーら研究者は、10%の糖分が含まれた水を健常者に飲ませて起立させたところ、血圧は低下し代償性に心拍数が増加して、15人中8人が気分不良になりました。ところが、普通の水道水を飲ませた場合には、2人しか気分不良は起こしませんでした[2]

このような実験から推定すると、起立性調節障害の人は夏場にはしっかり水分を補給する必要がありますが、糖分のあまり含まれていない水分、つまり水道水などを飲むほうがよい、ということがいえますね。

1日にどれぐらいの水分を摂取したらよいか、という点についてですが、基本的には、体重が30kgの人は約1.5リットル、45kgの人は2リットルが必要です。さらに汗をかいたらその分だけ水分量を余分に足すのがよいでしょう。参考にしてください。

[1]Mathias CJ.A 21st century water cure.Lancet. 2000 Sep 23;356(9235): 1046-8
[2]Lu CC, et al.Glucose Reduces the Effect of Water to Promote Orthostatic Tolerance. Am J Hypertens. 2008 Sep 4
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