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低血圧最近のトピックス

起立性調節障害(OD)の人の夏対策
水分補給の大切さ


久しぶりのトピックスのアップです。まもなく暑い夏がやってこようとしています。大洪水を起こす梅雨の最中に、全国各地で最高気温が35度を超え、各地で熱中症による救急搬送があったと報道されています。

さて熱中症の原因の一つに発汗による脱水症があげられます。テレビやラジオで「こまめに水分をとりましょう」と、アナウンスしていますが、脱水症を防ぐために水分補給は大切です。

起立性調節障害(OD)の人は日ごろから水分摂取量が少なく脱水症になりやすい傾向にあります。本サイトでも紹介しているように水分補給はとても重要です。体重が45㎏以上の人では、1日約2リットルの水分をとることが望まれます。しかしODの人は体調不良のときに水分を飲もうとしても、なかなか喉を通らないこともあり、脱水症傾向がさらに悪化する場合があります。

そんなときには、静脈輸液(いわゆる点滴)をしてもらうと一時的にも改善する場合があります。実際に点滴をしてもらって、少しは楽になったという患者さんがいらっしゃいます。最近、米国で起立不耐症(ほぼODと同じ病態)に対する静脈輸液療法という治療に関する研究報告[文献1]がありました。

この研究の対象となった患者さんは、思春期や若年者の重症OD 39名(このうち女子32名)でした。治療前の起立試験において起立時心拍増加は、全員の平均値が48拍/分とかなり著しい頻脈を示しました。静脈輸液は、毎日1~2リットルの生理食塩水を週に3~7日間、行いました。治療期間は短い人で1週間、長い人では3年以上続けたようです。治療後の正確な起立試験のデータは示されていませんが、約8割の31名において著しく損なわれていた日常生活が和らいだと報告しています。

この研究は、統計学的に厳密な手法で静脈輸液の効果を判定したものではありませんが、通常の経口的水分補給や薬物療法では治りにくい重症のODでは、血管内に直接に水分を補給する静脈輸液が治療方法の一つになるといえるでしょう。

ただし、静脈輸液はODの根本的な治療法ではありません。治療の基本は、普段からの水分摂取、体力と筋力アップのための運動療法(歩行訓練や筋トレ)、睡眠リズムを整える、ストレスへの対処、薬物療法であり、これらを怠らないことが重要です。

これらを日ごろから実践していても、暑さのために脱水ぎみになり体がつらい場合には静脈輸液を考えるとよいでしょう。近隣の医療機関に相談しましょう。ただし静脈輸液の点滴には約1~2時間かかるので診察時間内に点滴が終了するように余裕をもって受診しましょう。



[文献1]
Moak JP, Leong D, Fabian R, Freedenberg V, Jarosz E, Toney C,Hanumanthaiah S, Darbari A. Intravenous Hydration for Management of Medication-Resistant Orthostatic Intolerance in the Adolescent and Young Adult. Pediatr Cardiol. 2015 Oct 7. [Epub ahead of print]


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